国民病「歯周病」の最大原因とは?
歯周病予備軍も含めると、日本人の8割が歯周病にかかっていると言われています。誰もが注意しなければならない歯周病の最大原因は、プラーク(歯垢)です。
歯についた白いネバネバ汚れがプラークであり、この中にはたくさんの細菌が含まれていて、歯周病や虫歯の原因になります。
プラークは、食事により歯面についた汚れから、細菌が繁殖したものであり、食後8時間程度で作られると言われています。
プラークは歯磨きで除去できますが、ブラッシングだけで100%プラークを除去するのは困難です。
日々プラークは作られ続けていますので、正しい口腔清掃ができていなければ、プラークが蓄積し、自分では除去できない歯石となり、歯周ポケットの奥深くへと菌が繁殖し続けてしまうのです。
歯周病は、プラークや歯石の中に含まれている細菌により、歯周組織(歯肉や歯槽骨)が破壊される恐ろしい病気です。
しかし、もともとはブラッシングで除去できるプラークが原因となっていて、本当は誰もが防げる病気でもあります。歯周病予防・治療で最も大切なのは、「正しいブラッシング」なのです。
プラークが付着してから歯肉炎が発症するメカニズム
先にも紹介した通り、歯周病は磨き残しのプラークから始まります。歯と歯茎の隙間にたまったプラークから細菌が繁殖すると、細菌が作り出す毒素によって、歯肉に炎症が起きてしまいます。
この歯肉の炎症(歯茎の腫れ)が、歯周病の始まり「歯肉炎」です。
歯と歯茎の間に溝(歯周ポケット)ができる原因
プラークが石灰化したものが歯石ですが、歯肉と歯の隙間にできやすい特徴があります。そして、歯石の中の細菌は、歯肉と歯の隙間に入り込んでいきます。
細菌が作り出す毒素によって歯肉は壊され、歯と歯肉の間に隙間(歯周ポケット)ができていきます。細菌は、歯周ポケットの中で増殖し、どんどん歯肉を壊して歯周ポケットを深くしていきます。
歯周病の進行を、歯周ポケットで判断することもありますが、健康な歯肉では歯周ポケットが1~3㎜なのに対し、細菌によって破壊された歯肉は歯周ポケットが4㎜以上になります。
歯周ポケットが深くなると、歯を支える骨も溶かされてしまいます
歯周ポケットが深くなると、細菌は歯肉だけでなく、歯を支えている歯槽骨をも破壊し始めます。歯肉炎から進行した病態は、歯周炎と呼びますが、この段階では歯周病が進行している状態です。
歯槽骨の多くが吸収されている重度の歯周炎では、歯周ポケットが10㎜もの深さになっているケースもあります。
歯周病リスクを高める病気・生活習慣
歯周病はプラークの中の細菌によって引き起こされますが、歯肉の抵抗力が低下すると、細菌に打ち勝つことができず、歯周病が発症しやすくなってしまいます。
抵抗力を低下させ、歯周病リスクを高める要因には、次のようなものが挙げられます。
喫煙
喫煙は、歯肉や歯周組織の抵抗力を低下させる原因になります。そのため、歯周病リスクを高めるだけでなく、歯周病を進行させやすくしてしまいます。
また、受動喫煙も同様で、歯周病リスクが高まることがわかっています。
糖尿病
糖尿病になると抵抗力が落ちて、歯周病を発症・進行させやすくなります。
さらに、糖尿病が歯周病に悪影響を与えるだけでなく、歯周病になると、糖尿病の症状を悪化することもわかっています。糖尿病のある人は、歯周病治療はもちろん、血糖値のコントロールも行わなければ、どちらの改善にもつながらないのです。
ストレス・疲れ
ストレスや疲れは、抵抗力の低下につながり、歯周病に感染しやすくしてしまいます。
ストレスや疲労を蓄積させないように、こまめに解消することが必要です。
歯周病はもちろん、口の中の健康に良くないこと
次に挙げるものは、歯周病リスクを高めるだけでなく、口の中の健康に悪影響を及ぼしやすいです。
歯ぎしり
歯ぎしりは、噛み合わせ・知覚過敏の悪化、顎関節症、肩こりなどの原因となり、多くのデメリットがありますが、歯周病を進行させる原因にもなります。
過度な力が歯周組織に加わることで、炎症を起こりやすくなるとされています。
口呼吸
唾液には自浄作用がありますから、口呼吸によって口の中が乾燥すると、歯周病や虫歯が発生しやすい環境となってしまいます。
悪い歯並び
歯並びが悪いと磨き残ししやすく、、歯周病や虫歯になりやすい傾向があります。
歯周病の予防・治療は、患者様の協力が必要になります
歯周病の治療には、外科的治療や再生医療などの最新治療もありますが、やはり正しいブラッシングや歯周病リスクを高める病気・生活習慣の改善などが必要となり、患者様の協力が必要となります。
どんな最新治療・外科治療を持ってしても、日頃の正しいブラッシング・生活習慣の改善なくしては、歯周病は効果的に治療できないのです。
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