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歯周病にタバコが悪影響!その理由は?
皆さんは、歯周病とタバコは密接な関係にあることをご存知でしょうか。喫煙が日常化している人と、タバコを1本も吸わない人とでは、歯周病を発症するリスクが格段に違っています。歯周病の発症だけではなく、タバコは歯周病をより酷い状態へと進行させる原因にもなります。
ここでは、歯周病にタバコがどのように悪影響を与えるのか、そのメカニズムについて詳しく解説していきます。タバコの怖さや禁煙することの大切さを知り、歯周病の改善に役立てましょう。
歯周病のリスクはタバコの量に比例する!
ストレスを感じたときなどに、ついつい口にしてしまうタバコ。近年では、男性でも女性でも喫煙が習慣化してしまっている方が目立ちます。ストレスの多い環境下にいる現代人にとって仕方がないことと言えるのかもしれませんが、タバコは身体の健康を害する習慣にほかなりません。そして、身体の健康にはお口のなかの健康も含まれています。
タバコを吸うことでお口のなかの健康が害されてしまう、その分かりやすい例が歯周病です。タバコの量と歯周病のリスクは比例する関係にあります。つまり、たくさんタバコを吸えば吸うほど、歯周病にかかったり、歯周病が悪化したりする危険性が高くなるのです。
スウェーデンの研究チームが、過去の喫煙率をもとに行った喫煙者の歯周病罹患率の調査によると、「仮に喫煙者が0%になった場合、歯周病患者は1970年で8割、2010年時点で6割ほど減少する」といった計算報告もあります。この数値から、タバコと歯周病がいかに深い関わりを持っているかがわかります。
タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素がNG!
では、なぜタバコが歯周病の発症・進行のリスクを上げてしまうのでしょうか。
タバコには、私たちの身体に害のある化学物質が何百種類も含まれています。このうち、歯周病に深く関わっているのが“ニコチン”と“一酸化炭素”です。
強い神経毒性を持つニコチンには、血管を狭くして血液の流れを悪くしたり、白血球の機能を低下させたりする作用があります。また、一酸化炭素には、ヘモグロビンと結びつくことで酸素の運搬を邪魔する作用があります。
血液の流れが悪くなると、歯周組織に十分な酸素や栄養がとどかなくなります。白血球の機能が低下すると、歯周組織の免疫力が落ちるため、細菌など悪いものを跳ね返す力が弱くなります。つまり、タバコを吸うと、タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素により、歯周組織が歯周病菌に感染しやすくなるのです。
タバコのヤニも問題!歯垢蓄積の原因に
ニコチンや一酸化炭素のほか、タバコのタール、いわゆる“ヤニ”も口腔トラブルを助長する大きな原因です。
タバコのヤニが付いている歯は、黒くて汚らしいというだけではありません。ヤニが付いた部分はザラザラとしているため、歯垢(プラーク)が絡みつきやすいという一面もあります。歯垢はいわば、歯周病菌の巣窟です。タバコを吸ってヤニが付くと、歯周病の原因となる歯垢を増やすことになってしまうのです。
受動喫煙や三次喫煙でも歯周病のリスクが!
歯周病にかかるリスクは喫煙者だけに限りません。2001年の調査では、1988~1994年の米国保険栄養調査の分析結果を踏まえて、受動喫煙している成人の非喫煙者の歯周病リスクは57%高まるという報告がなされています。
このように、喫煙者の周囲の人も、受動喫煙や三次喫煙による歯周病リスクに注意する必要があります。
タバコで歯肉の腫れや出血が静まることもありますが…?
タバコを吸うと、歯肉の腫れや歯肉からの出血が治まることがあります。しかし、ここで「タバコで歯周病が治った!」などと勘違いしてはいけません。このような現象が起きるのは、タバコに含まれる化学物質で、血液の流れが悪くなっているからにすぎないからです。
一見症状が鎮静したように見えても、それとは裏腹に確実に歯周病のリスクは上がっていますので、決して楽観視しないよう注意が必要です。
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